相続財産で不動産(収益物件)を取得したら

不動産管理会社の活用法

相続財産で不動産を取得した場合で、その不動産が貸付物件(収益物件)の場合、その土地と建物の名義はどなたになっていますか。

もし土地と建物の名義が個人つまり経営者本人で、その不動産からの収入をすべて会社で計上している場合、非常にまずいことになるおそれがあります。

なぜなら、この場合会社は個人(経営者)の所有物を管理しているかたちですが、もし外部の第三者の管理会社に管理を任せた場合には、契約形態にもよりますが例えば家賃収入に対して数%の管理料を支払えば管理してもらえます。それなのに、会社が個人(経営者)の所有物に対する不動産収入を会社ですべて計上している場合には、最悪の場合確定申告の内容が認められず、個人の所得税の問題として捉えられ高い所得税率が課されてしまうおそれがあるからです。

このような場合どうすればよいかということになりますが、一番良いのは土地と建物の両方を会社名義にすることです、すなわち、土地と建物の両方を個人から会社に売却(譲渡)することです。所有者がともに会社であれば、その不動産からの収入をすべて会社で計上することは当然のことながら問題ないわけです。

ここでポイントがあるのですが、相続財産で取得した土地を売却(譲渡)する場合には、土地のそもそもの取得価額がいくらであったかということです。土地が先祖代々からの土地の場合のように取得価額がわからない場合には、取得価額は売却価額の5%と認定され、多額の所得税が課されるおそれがあります。そのため、土地と建物の両方を会社名義にすることはなかなか難しいケースが多かったりもします。

そこで、土地は個人名義のままで建物のみを会社に売却するというかたちにすれば、建物を所有しているのは会社であるため建物から発生する家賃収入を会社ですべて計上することができる場合があります。

できる場合があると言っているのは、いくつかの問題をクリアしないといけないからです。

まず、そもそも建物を会社へ売却する場合その売却価額が問題となります。売却価額は時価とする必要がありますが、建物の時価は相続税法上の財産評価として固定資産税の評価額を基に算出します。この建物の時価と個人名義時の建物の簿価との乖離が大きいと、個人に売却益が発生することになってしまうので、注意が必要です。

そして次に、土地は個人名義で建物は会社名義という方式にする場合、個人所有の土地に対して法人が支払うべき権利金の問題や地代をいくらに設定するのかという問題もあります。この問題を解決する方法はいくつかあるのですが、例えば、個人所有の土地について法人が権利金を支払わないケースにするならば「土地の無償返還に関する届出書」という書類を税務署に提出することで権利金の問題をクリアでき、また会社が個人に支払う地代の設定金額についてもいくつかありますが、例えば、相続税法上の土地の評価額を下げようとするならば、地代は固定資産税相当額の2倍程度に設定すべきであったりします。

以上より、相続財産で不動産(収益物件)を取得した場合には、ケースバイケースで節税として最適な方法はありますので、HSKCにご相談いただければ様々なご提案ができます。

続きは後ほど・・・